算数1科目だけの私立中学入試。2020年の大学入試改革を見据えて。

首都圏の私立中学の入試に変化起こってるらしい。

入試科目が算数だけの私立中学校が増えているらしい。

通常私立中学の入試科目というと、国語・算数と学校によっては理科。

国語と算数の2科目が多数派で、理科を付け加える学校や最近では英語を選択できる学校などがある。

最近になって首都圏で、入試科目が算数だけという学校が男子校を中心に現れ始め、増えていきつつある。 算数だけと言っても、私立中学の入試だから一ひねりも二ひねりもしてある一筋縄ではいかない難問だ。

何故算数だけにするのだろう。

020年の大学入試の改革と、近時のAIの進歩が関係あるらしい。

2020年の大学入試の改革では、現在のように知識の量を問題にするのではなく、持っている知識をどう使って一定の結論を導き出し、 それをどのように表現して相手に伝えるかということを重視する試験に変わる。

すなわち論理的思考力と表現力を重視する試験になる。

私立中学は大学入試を見据えて教育を行うので、論理的思考力と記述式の試験で表現力を見たいので算数1科目入試を始めるのだそうだ。

=====朝日新聞デジタル版より引用 ここから=============

(巣鴨中学の)堀内不二夫校長(70)は「精神的年齢に関係なく力を出せるのが算数。AI時代に即した、論理的展開ができる力のある生徒を採るため実施する」と話す。

論理力や読解力を上げるためには国語の力も重要だが、「中学入試の国語では、判断が難しい」という。

ホームページで公表している「サンプル問題」は、数のカードを操作する男の子2人の会話文を読み解きながら解答を求める内容で、文章で説明しなければならない出題もある。

「新しい大学入試もあり、最低1問は、国語の読解力も問えるような問題を入れるつもりだ」という。

 

世田谷学園中学校も来年から1日午後に「算数特選」(定員30人、うち特待20人)を始める。

学校のホームページでは「社会が急速に変化をし、AIやITが注目されるなか、 これからの時代は文系・理系を問わず、最低限、プログラムが読めなければならない」と説明し、 「論理的思考の訓練は万人に必要となります」と解く。

山本慈訓(じくん)校長(53)は「AI時代に対応できる生徒が集まってほしい」と期待をかける。

======引用ここまで========

高校3年からの「国語」は「文学国語」と「論理国語」に分かれてどちらかを選択するようになる。

「論理国語」は論説文などを学ぶ。文学は一切扱わない。文芸評論ですら「論理国語」では扱わない。

新しい大学入試のセンター試験は、最近公表されたサンプルによると、機械の取扱説明書であったり企業の稟議書などが出題される。

大学入試センター試験に「論理国語」の内容が出題されるとなると、高校で指導する国語も「論理国語」にならざるを得ない。

算数1科目入試で私立中学に入った生徒は、ほとんど文学に触れないまま大学生になり、社会人となるわけだ。

青少年時代に様々な文学に触れることが人間の幅をはぐくみ、他人の痛みが分かるひととなり、それが穏やかな社会を作ると思うのだが、 政府のえらい人たちの考えはそうではないらしい。

小学生のうちから東西の文学作品を数多く読んでおくことが大切だと思う。